CES2023からソニーグループの注目ポイントを解説
今回は1月5日にラスベガスで開催されたテクノロジー見本市「CES」での、プレスカンファレンスからソニーグループの注目ポイントを解説します。
CESでのプレスカンファレンス
CES2023での主な発表
①PS5累計出荷台数が3千万台を突破
②PS5は22年12月に月間出荷数最多を更新
③発売予定のPSVR2にはグランツーリスモ7無償アップグレード対応など30タイトル 以上のソフト開発が進行
④人気ゲームタイトルのグランツーリスモを映画化
⑤SonyHondaMobillityのEV車のブランド名は「AFEELA」プロトタイプも公開
⑥「AFEELA」は25年上期に予約開始で26年春に北米で販売予定
エンタテインメント分野の成長性
ソニーグループは音楽、映画、ゲームなど様々な分野でコンテンツIPを所有しています。その強みを生かし所有しているIPを様々な分野に展開していく、IPのマルチ展開を推進しています。その取り組みの一環としてPlayStationの人気ゲームタイトルであるGranTurismの映画化が発表されています。
PSのGranTurismには根強いファンが多いため映画のヒットにも期待されています。また映画からゲームに入ることも期待されるためシナジー効果は大きいと考えられます。
こういったシナジーの利かし方は競合のマイクロソフトや任天堂には出来ない事で、ソニーグループの優位性です。
ソニーグループのシナジーはエンタメ間だけなく、エンタメ分野とテクノロジー分野のシナジーも強みです。音楽では、背景をCGや自由視点の実写映像を表示させる、バーチャルプロダクションを使ったコンサートに成長期待があります。
Afeelaの高いポテンシャル
CES2023でSonyHondaMobillityのEV車の「AFEELA」プロトタイプが公開されました。デザインは極めてシンプルとなっていて、iPhoneを想起させるデザインと言えます。
AfeelaのコンセプトはAutonomy:「進化する自律性」,Augmentation:「身体・時空間の拡張」,Affinity:「人との協調、社会との共生」としています。
超高性能 Autonomy:「進化する自律性」
「AFEELA」は特定の条件の下で自動運転機能であるレベル3の搭載を目指しているようです。自動運転の肝となるECU(電子制御ユニット)にクアルコム製のSoC(System on a Chip)「Snapdragon」を採用するとしており、CES2023のソニー発表にはクアルコムのCEOも登壇しプレゼンを行いました。
このクアルコムのチップは市販されている乗用車の性能を大きく上回っており、自動運転のレベルのも期待が持てます。
ソニーグループだから出来るAugmentation「身体・時空間の拡張」
SonyHondaMobillityはフォートナイトのEpicGamesと協業することも発表しています。ソニーが持つ様々な空間技術や映画、音楽、ゲームなどのコンテンツやフォートナイトの世界観を取り入れた、他社と差別化できた車内体験を提供できることは間違いないでしょう。
株式市場は好感
ロイターによると市場には「ソニーにとって、EVは柱のひとつになるかもしれない。」といった声もあるようです。実際CES2023で発表が行われた後、株価は堅調に推移しています。
「AFEELA」の業績貢献はまだ先ですが、期待を株価に織り込むタイミングにきていると考えられます。また1月6日には、SonyHondaMobillityが上場する可能性が報じられ、ソニーの株価の支援材料となりました。
経営者が選ぶ有望銘柄4年連続首位
ソニーグループは経営者が選ぶ有望銘柄4年連続首位にも選ばれ、株価カタリストと成長ポテンシャル両方を備えている日本でも有数の有望銘柄です。
投資家としてはチェックしておきたい銘柄の一つなのは間違いないでしょう。
マンチェスターユナイテッドの経営と業績、株価を徹底分析!グレイザー家は本当にだめなのか?
今回はサッカーファンと投資家におすすめの記事です。
一部メディアで買収報道が出ているマンチェスターユナイテッドの経営と業績について分析します。
またマンチェスターユナイテッドの大株主であるグレーザー家の経営はサッカーファンから不評ですが、投資家目線で批判の正当性についても分析します。
マンチェスターユナイテッドの業績
業績推移
マンチェスターユナイテッドの売上規模は近年、6億ポンド程度で推移しています。20年度と21年度の減収は入場料収入の激減によるものです。
参考:6億英ポンド=960億円(1英ポンド160円で計算)
マンチェスターユナイテッドの売り上げの内訳は半分程度が、スポンサー収入やグッズ、ライセンス収入などで構成されている商業収入となっています。
商業収入の内訳は22年度で約6割がスポンサー収入で約4割がリテール、グッズ、ライセンス等の収入となっています。
マンチェスターユナイテッドの損益は20年度から赤字が続いていますが、主な要因は入場料収入の激減と販管費の増加です。販管費の内訳の推移は以下の通りです。
利益の変動要因はチームの強化費
赤字が続いている20年度から人件費の増加しているのがわかります。この人件費の大半は選手などへのサラリーと考えられます。
次に大きい費用は償却費です。
選手などの獲得は無形資産の取得となるため、直ちに全額がその期の費用として計上されるわけではなく、契約期間にわたって償却されていきます。
逆に選手を売却した場合、無形資産売却益として営業利益に反映されます。
マンチェスターユナイテッドの費用の大半はトップチームの強化によるものであることがわかります。
【参考】
勘定科目の原文
放映権収入=Broadcasting revenue
入場料収入等=Matchday revenu
商業収入=Commercial revenu
スポンサー収入=Sponsorship revenue
リテール、グッズ等=Retail.merchandising.apparel&products licensing revenue
人件費=Employee benefit expense
減価償却費と減損=Depreciation and impairment
償却費=Amortization
無形資産売却益=Profit on disposal of intangible assets
キャッシュフローはプラス
(単位 :千GBP) |
営業 キャッシュフロー |
投資キャッシュフロー |
財務 キャッシュフロー |
現金同等物 |
FY2021 | 113,083 | -99,373 | 47,641 | 110,658 |
FY2022 | 96,371 | -93,431 | 5,040 | 121,223 |
マンチェスターユナイテッドの損益だけを見れば、チームの強化費が重く利益を圧迫していますが、営業キャッシュフローは1億ポンド程度のプラスとなっており、稼ぐ力は流石です。
キャッシュフローもプラスで損益は赤字でも、安心感のある内容です。
財務状態を分析
資産状況
22年度末のマンチェスターユナイテッドの固定資産は10億英ポンド程度あります。
内訳は選手など無形資産が7.4億英ポンド程度と大半を占めており、残りのほとんどは保有している施設などが占めています。
流動資産は2.4億英ポンド程度あり、その約半分は現金と現金同等物が占めています。残りは売上債権などが占めています。
負債状況
固定負債は約6.7億英ポンドがあります。内訳は借入が訳5.3億英ポンドで大半を占めています。
流動負債は約5億英ポンドで、内1億英ポンドが借入で、残りは契約負債などが占めています。
借入は固定と流動を合わせると、約6.3億英ポンドです。
ファーガソン8つの流儀:常勝軍団はこうしてつくられた DIAMOND ハーバード・ビジネス・レビュー論文kindle版は495円で購読可能
ファンが批判している借金の多さは不適切なのか
マンチェスターユナイテッドのファンは、借入金でレバレッジを利かした経営に対して批判的な人が多いようです。
確かに22年度期末の自己資本比率は10%程度となっており、比較的低水準です。
ただ、前述したとおり営業キャッシュフローは大幅にプラスなうえに、マンチェスターユナイテッドが保有する、簿外の知的財産権を考えると、財務が不健全とはいえないでしょう。
選手の移籍市場での競争激化や人件費が高騰している中、内部金融だけでマネジメントするのは、資本効率が悪くなり、資本市場での競争力を失ってしまうため、経済合理性を欠いています。
出来るだけ小さな資本でリターンを出すというのが、現代の市場で評価される経営ですから、基本的に無借金経営を求めるのは間違いです。
株価と売却動向
マンチェスターユナイテッドはニューヨーク証券取引所に上場しており、株主はグレーザー家だけでなく、世界中に少数株主がいます。
株価は11月末から急騰しています。
これはグレーザー家がマンチェスターユナイテッド株を売却する可能性についての報道が出たためです。
23年1月6日時点の時価総額は38億米ドル(1ドル約130円計算で5,000億程度)となっています。
株価はプレミアムが付いた形でのTOBを既にかなり織り込んでいると考えられるため、何の取引も行われなかったり、条件が市場の期待に届かなかった場合は、暴落する可能性もあります。
マンチェスターユナイテッドの買収に興味を持つ投資家は、世界中にいると考えられ、動向には注目です。
銀行銘柄の収益環境と買い方のおすすめを紹介!
今回は銀行業の収益環境と銀行株に投資する際のETF活用法を紹介します。
銀行業の収益環境
12月20日に日本銀行は金融政策を修正し、10年金利の許容変動幅を上下0,25%程度から上下0.5%に程度に拡大することを決めました。この修正を受け日本の銀行株は上昇しています。
許容変動幅拡大による業績への影響
主に予想できる業績に貢献する経路としては、固定金利貸出の新規貸出利回りの上昇、利回り上昇後の10年国債の買いによる利息収入の増加が挙げられます。
全体としては上記のプラスの影響が強く出ると考えられますが、利回り上昇によって既に保有している債権は含み損が拡大すると考えられます。
そのため利上げ時のポジションによって、業績影響は変わってきます。
23年には更なる金融政策の変更の可能性も
2023年に金融緩和の更なる縮小があるかは、物価上昇率がどうなるかによって変わってきます。
日本銀行の現時点での23年の物価見通しは、22年のエネルギー価格による物価上昇の寄与が、剥落するため1%台半ばの上昇率に落ち着くと予想しています。
ただ仮に23年1月に出る物価見通しを示す展望リポートで、物価見通しを上方修正した場合、金融緩和を持続する根拠がなくなってしましまい、23年の緩和縮小の確率は高まります。
そのため物価上昇率によっては、銀行業の収益環境が更に好転する可能性があります。
ETF活用で銘柄分散
利上げは株式市場全体にとってはネガティブとなりますが、銀行業を組み入れておくことで一定のヘッジにはなります。
ただ銀行業の中でも利上げの業績感応度は銘柄によって違います。メガバンクから地銀までたくさん銘柄がある中で、どの銘柄に優位性があるか判断するのは非常に難しいです。
そこで銀行業のみを組み入れたETFに投資することで、銘柄固有のリスクを低減することが出来ます。
NEXT FUNDS東証銀行業株価指数連動型上場投信(1615)
運用会社は野村アセットマネジメントの東証銀行業指数に連動する、投資成果を目指すインデックスのETFです。
ほとんど組入銘柄が同じETFで、NEXT FUNDS銀行(TOPIX-17)上場投信(1631)というのもありますが、純資産総額と流動性の観点から、銘柄コード1615の方が無難だと思います。
分配金利回り(実)3.05%
信託報酬率0.209%
最低取引金額 20270円*
純資産総額 804.9億円*
組入上位**
No. 銘柄コード 銘柄 純資産比率
1 8306 三菱UFJフィナンシャル・グループ 29.94%
2 8316 三井住友フィナンシャルグループ 20.65%
3 8411 みずほフィナンシャルグループ 15.02%
4 8308 りそなホールディングス 5.10%
5 8309 三井住友トラスト・ホールディングス 4.94%
6 7182 ゆうちょ銀行 1.81%
7 7186 コンコルディア・フィナンシャルグループ 1.59%
8 8331 千葉銀行 1.41%
9 5831 しずおかフィナンシャルグループ 1.37%
10 8354 ふくおかフィナンシャルグループ 1.30%
全79銘柄
*2022年12月30日時点
**2022年11月30日時点
金融政策の修正後に急騰し、出来高も急増しています。
組み入れ銘柄比率はメガバンクだけで50%を超えています。
注意点
銀行業にとって追い風であることは間違いないことですが、株価の水準については考える必要があります。
既に銀行業の株価は上がっており、更なる金融政策の変更もある程度織り込んでいる可能性もあることは注意が必要です。
投資は慎重に、自己責任でお願いします。
高配当株を投資対象としている投資信託5選
日本でも継続的にインフレが続く可能性があり、インフレ率に勝る高配当の銘柄が優位の時代が到来している可能性もあります。
今回は高配当株を組み入れている投資信託を分析、紹介します。配当に着目して組成されている投資信託はインデックス型とアクティブ型の両方があります。
インデックス型とアクティブ型の違いや特徴はこちらの記事が参考になります。
紹介するアクティブファンドは比較的に信託報酬の低い投資信託を選びました。
インデックス型
SMT日本株配当貴族インデックス・オープン
三井住友トラスト・アセットマネジメントが運用する投資信託で、S&P/JPX配当貴族指数(配当込み)に連動するように、組成されている投資信託です。
S&P/JPX配当貴族指数は安定配当か毎年の増配など、配当利回りが高い銘柄で構成されている指数です。
組入銘柄
組み入れ上位10位* 業種 構成比率 配当利回り
1 東洋製罐グループホールディングス 金属製品 3.51% 5.52%
2 住友林業 建設業 2.69% 3.37%
3 稲畑産業 卸売業 2.63% 4.64%
4 安藤・間 建設業 2.55% 4.58%
5 ダイセル 化学 2.52% 3.41%
6 UBE 化学 2.40% 4.75%
7 インフロニア・ホールディングス 建設業 2.33% 3.88%
8 オートバックスセブン 卸売業 2.32% 4.12%
9 エクシオグループ 建設業 2.32% 4.51%
10 東ソー 化学 2.30% 4.93%
組入上位10業種* 比率
1 建設業 19.04%
2 銀行業 18.44%
3 化学 15.20%
4 卸売業 7.04%
5 その他金融業 6.01%
6 保険業 4.14%
7 ガラス・土石製品 3.82%
8 金属製品 3.51%
9 陸運業 2.28%
10 非鉄金属 2.23%
*2022年11月30日時点
*月次レポートを基に作成
運用のポイント
組入上位業種の特徴は配当がテーマの指数をベンチマークにしているため、高配当業種の中で上手く分散されています。
組み入れ銘柄はインデックスとしては珍しく、比較的時価総額が大きくない銘柄が比率の上位に入っているが特徴的です。
その他の概要
信託報酬:年率0.462
純資産総額:5.38億円**
信託報酬はインデックス型のため比較的低く設定されています。
純資産総額は5億程度で資金の集まりは悪いのは、少し気がかりです。
**12月23日時点
アクティブ型
日経平均高配当利回りファンド
三菱UFJ国際投信が運用するファンドで日経平均の構成銘柄の中から、予想配当利回りの上位30銘柄でポートフォリオを構築するファンドです。
組入銘柄
組入上位10位* 業種 構成比率 予想配当利回り*
1 日本たばこ産業 食料品 6.3% 6.7%
2 三井住友フィナンシャルグループ 銀行業 6.1% 4.9%
3 武田薬品工業 医薬品 6.0% 4.4%
4 みずほフィナンシャルグループ 銀行業 6.0% 5.0%
5 日本郵政 サービス業 6.0% 4.6%
6 日本製鉄 鉄鋼 5.7% 8.2%
7 商船三井 海運業 5.7% 16.3%
8 ソフトバンク 情報・通信業 5.4% 5.7%
9 JFEホールディングス 鉄鋼 5.3% 5.9%
10 丸紅 卸売業 5.1% 4.8%
*2022年11月30日時点
*月次レポートを基に作成
運用のポイント
高配当の中でも投資対象は日経平均採用銘柄のため、基本的に時価総額が大きい銘柄が投資対象となっています。
一銘柄あたりの構成比率が大きくなっており、投資信託にしては集中投資の度合いが高めです。信用リスクや無配懸念があると判断した場合は投資対象から外す場合があるとしています。
しかし基本的には予想配当利回り上位30銘柄に投資するとしており、銘柄選定は機械的に行われているため、インデックス型に近いアクティブ型の投資信託です。年2回の分配があり分配金は、経費控除後の配当収入の水準を勘案するとしています。
その他の概要
信託報酬:年率0.693
純資産総額:33.19億円**
信託報酬は分配金のあるアクティブ型の投資信託としてはかなり低く設定されています。純資産総額は多くはありませんが、運用に影響が出る懸念がある水準ではないでしょう。
**12月23日時点
三井住友・配当フォーカスオープン
三井住友DSアセットマネジメントが運用する投資信託です。
組入れ上位10* 業種 ⽐率 配当利回り
1 ⽇本電信電話 情報・通信業 1.8 3.1
2 伊藤忠商事 卸売業 1.8 3.3
3 三井住友フィナンシャルグループ 銀⾏業 1.7 4.9
4 KDDI 情報・通信業 1.7 3.3
5 みずほフィナンシャルグループ 銀⾏業 1.7 5.0
6 ⽇特建設 建設業 1.6 4.9
7 スター精密 機械 1.5 3.5
8 メイテック サービス業 1.5 3.3
9 兼松 卸売業 1.5 4.9
10 センコーグループホールディングス 陸運業 1.5 3.5
*2022年11月30日時点
*月次レポートを基に作成
運用のポイント
銘柄選定は配当に着目して行われています。ポートフォリオの約70%は予想配当利回りと配当政策の総合評価が相対的に高い銘柄を組入、約30%は運用会社が投資魅力度が高いと判断した銘柄が組入れられます。
2022年11月30日時点の組入れ銘柄数は88銘柄と多く、組入れ上位10位の銘柄の構成比率もそれぞれ1%台で、銘柄分散もしっかりと行われています。分配実績もある投資信託です。
その他の概要
信託報酬:年率0.924%
純資産総額:49.37億円**
信託報酬はアクティブ型ファンドとしては低めに設定されています。純資産総額も40億円程度の水準で安定的に推移しています。
**2022年12月26日時点
フィデリティ・日本配当成長株・ファンド(分配重視型)
フィデリティ投信が運用する投資信託です。
組入銘柄
組入れ上位10* 業種 ⽐率 予想配当利回り
1 SOMPOホールディングス 保険業 4.0% 4.2%
2 ブリヂストン ゴム製品 4.0% 3.2%
3 伊藤忠商事 卸売業 3.9% 3.6%
4 三井住友フィナンシャルグループ 銀行業 3.6% 5.3%
5 KDDI 情報・通信業 3.5% 3.1%
6 アステラス製薬 医薬品 3.4% 2.9%
7 三菱商事 卸売業 3.1% 3.8%
8 ソフトバンク 情報・通信業 2.7% 5.9%
9 セコム サービス業 2.7% 2.2%
10 上組 倉庫・運輸関連業 2.4% 2.8%
*2022年11月30日時点
*月次レポートを基に作成
運用のポイント
配当の水準だけでなく配当成長(増配)に着目しているファンドです。比較的純資産総額の大きいファンドのため、組入の上位銘柄は時価総額が大きい銘柄で構成されています。
組み入れ銘柄数は63銘柄*で、上位10銘柄で33.2%の組入比率を占めています。三井住友・配当フォーカスオープンに比べると集中投資に近い投資信託です。年4回の分配も実施しています。
その他の概要
信託報酬:年率1.188%
純資産総額:283.5億円**
信託財産留保額:0.3%
**2022年12月26日時点
日本好配当リバランスオープン
岡三アセットマネジメントが運用する投資信託です。
運用のポイント
投資対象は日経500種平均株価の採用銘柄を予想配当利回りの上位70銘柄程度とするとしています。予想配当利回りだけでなく、財務状況や流動性も勘案しているようです。
日経平均高配当利回りファンドと同じような銘柄選定の基準ですが、日本好配当リバランスオープンの方が、銘柄数と投資対象が広くなっています。
2022年12月7日時点の組入銘柄は70銘柄で組入比率は、全銘柄1.3%か1.4%で均等に組み入れられています。機械的な銘柄選定の要素があり、インデックス型に近いアクティブ型投資信託です。
その他の概要*
信託報酬:年率0.913%
純資産総額:104.44億円
*2022年12月27日時点
投資をされる際は目論見書等の運用会社,販売会社から発行される書類を読んで、理解した上で投資しましょう。くれぐれも投資は慎重に、自己責任でお願いします。
マネーフォワードは投資信託を含めた資産管理に便利でおすすめです。
日本銀行保有のETFはどうなる?出口戦略を考える
中央銀行がETFを買い入れるという世界でも例を見ない金融政策を日本銀行は行ってきました。
中央銀行が多くの企業の大株主であり続けることは、ガバナンスの問題など弊害が多く正常とは言えません。
金融政策の方向転換の可能性が増してきている中、保有しているETFの出口戦略が決められる日も近いかもしれません。
この記事では現時点で予想される、日本銀行が保有するETFの出口戦略を解説します。
日銀ETFの概要
日本銀行のETF(上場投資信託)の買い入れは、白川総裁時代に始まりました。
その後、黒田総裁に代わってから年間の買い入れ上限額の引き上げが数回行われ、22年3月のETF保有残高は簿価で35兆円に上り、時価では50兆円を超えています。
21年からは買い入れペースの柔軟化をしており、ETFの買い入れは縮小の方向に動いています。
2012年10月 | ETF4,500億円上限 |
2012年12月 | ETF2.1兆円 |
2013年4月 | 量的・質的金融緩和(異次元緩和) ETF年1兆円 |
2014年10月 | 追加緩和 ETF年3兆円 |
2016年1月 | マイナス金利導入 |
2016年7月 | ETF年6兆円 |
2020年3月 | ETF上限年12兆円 |
2021年3月 | 定額買い入れから柔軟化 |
そもそもETFの買い入れは総額4,500億円で始まった政策です。それが物価目標が達成できずに、規模の拡大が続いて現在の残高に至っています。
出口戦略
まだ具体的な出口戦略について見えていませんが、いくつか現時点で想定されている出口戦略があります。
ETFばらまき
簡単に言えば出口としてETFを国民に分配する案です。
全国民に証券口座を付与する、「ベーシックアカウント」とセットで議論されることが多いです。日銀ETFの保有残高は国民一人当たり40万円程度です。
2020年の特別給付金が10万円でした。長い時間をかけて分配していく事を考えれば、40万円程度はありえない金額とは言えないでしょう。
ただ、国民に分配してもすぐに売却されては市場の需給は崩壊してしまいます。ですから実現したとしても、何らかの制限付きで分配されることになるでしょう。
格安購入
希望する個人が割引価格で購入する案です。
ニッセイ基礎研究所の井出慎吾氏がレポート*で提案しているのが代表的です。この場合も売却に制限をかける必要があります。
ただ、割安といっても購入原資が必要ですから不公平感強く、反発も大きくなることが予想され実現は難しいでしょう。
*参照:ニッセイ基礎研究所 基礎研レポート 『日銀ETFを活用した 日本経済の底上げスキーム』(2022.10.11)
基金創設
簡単に言えばETFを日本銀行から独立した機関に切り離すという案です。東海東京アセットマネジメントの平山賢一氏が提唱している案です。
ETFを創設する長期成長基金に譲渡して、日銀はETFの簿価分の長期成長基金債を受け取ります。
基金の運用はETFから株式に交換した上で共通利益を追求する対話を投資先企業としていく事も案に含まれています。
こうした対話は現状の日本銀行がETFを保有している状態では、出来ませんから画期的な案です。
また、配当金を原資に研究開発資金に充てることも提案されており、中長期的に日本経済を底上げることが出来そうな案のように思います。
参照:平山賢一(2021)『日銀ETF問題』(中央経済社)
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市場売却
市場売却論は投資家が一番恐れる案です。
少しずつ売却するとしても、今まで買いで下値を固めていたのと、真逆の上値を抑える効果が数年間続くことになるわけですから、市場参加者の誰の理解も得られないでしょう。
GPIFへの簿価譲渡
GPIFが日本銀行からETFを購入する案です。
GPIFの運用ポートフォリオのバランスが崩れますから、日本株式の比率を下げるために売却が必要となります。
以上の案が現時点で想定されている主な出口です。
いずれの案もすべての問題を解決するものではありませんが、一番現実的かつ成長に資する案は基金論だと思います。
この問題は株価にかなり影響しますので、これからも注視する必要があります。
日本代表勝利で業績が良くなる企業はどこ?ワールドカップ関連3銘柄を分析
今回はサッカーワールドカップの関連銘柄の業績・株価、日本代表の活躍による影響について分析します。
美津濃(ミズノ)
美津濃(8022)はどんな企業?
スポーツ用品のメーカーとしてグローバルに展開をしているミズノです。ミズノはサッカーだけでなく野球、ゴルフ、陸上競技、卓球などあらゆるスポーツの製品を取り扱っています。
開示資料ではサッカー製品の売上高比率等は見当たりませんでしたが、スパイク等の評価は一定程度高いため、売上高比率はそれなりに高いと推察されます。
日本の売上高比率は22年3月期で65.2%で米州、欧州、アジア/オセアニアがそれぞれ10%程度となっています。
業績は自粛などの影響が大きかった21年3月期に減益となりましたが、22年3月期は急反発しています。これは前年の反動や経営効率化の影響が大きかったようです。
23年3月期の業績は11月9日に販売好調などを理由に上方修正しています。
上方修正しても2Qまでの経常利益の進捗率で既に70%を超えており、市場には更なる上方修正期待もあると思います。
株価推移とバリエーション
- 株価 3045
- 配当 60円
- 予PER 8.7倍
- PBR 0.6倍
- 時価総額 809億円 (11月24日終値時点)
美津濃(8022)は低PERのバリュー株です。
保有資産に対しての利益率が低く市場の評価が低いためPBRが1倍を切っての株価の推移が続いていると考えます。
この収益性の低さの問題は会社も意識しており、中期計画でROA・ROEを向上させていくとしています。
日本代表のドイツ戦勝利の翌営業日の株価は急騰し、5.77%高の3,045円で引けました。チャート的にはここ3年のレンジを上抜けた形となっています。
サッカーワールドカップの株価・業績影響
アディダスやナイキと比べるとサッカー界でのプレゼンスは低いですが、ミズノの事業規模を考えるとサッカーの盛り上がりによる業績へのインパクトは一定程度あると考えられます。
日本代表にはミズノと契約してブランドアンバサダーを務めている選手が複数選出されています。
そのため、その契約選手が活躍すれば、ミズノにも注目が集まる可能性があります。
日本代表選出のミズノ契約選手
- 吉田 麻也
- 権田 修一
- 田中 碧
今回ABEMAで解説をしている本田圭祐もミズノの契約選手です。
来年には野球のWBCも控えており、美津濃に支援材料になるイベントが続きますの要注目です。
アシックス
サッカーワールドカップの株価・業績影響
アシックスの株価は日本代表のドイツ戦勝利の翌営業日は2%高程度で始まったものの、結局0.8%の下げで引けました。
ロイターや株式新聞などではワールドカップ関連のホットストックとして紹介されていましたが、日本代表勝利によるアシックスの業績への影響は軽微かほとんどないと考えます。
アシックスは21年度売上の約7割は海外で、しかも業績に貢献しているのは、ほとんどがランニング関連の製品です。
また、会社が開示している説明資料にもサッカーの事はほとんど記載がありません。
アシックスは美津濃に比べて時価総額も大きいですので、同じようにサッカー製品を扱っているからという理由での物色は、持続性に欠けると思います。
株価推移とバリエーション
- 株価 3045円
- 配当 32円
- PER 26.57倍
- PBR 3倍
- 時価総額 5,781億円 (11月24日終値時点)
アシックスの株は美津濃とは対照的な高PERのグロース株で、市場の期待も非常に高い株です。
ランニングシューズはグローバルでプレゼンスが高く、アスリートからも評価は高いようです。また、最近はデジタル戦略を推進しており、関連企業のM&Aも積極的です。
サイバーエージェント
サッカーワールドカップの株価・業績影響
ワールドカップ日本代表のドイツ戦勝利後の株価は買い気配で始まり、その後買いが続き84円高(+6.94%)の1294円で引けました。
ABEMAのワールドカップの放映権取得は社運を賭けた投資といえます。ですから盛り上がりの度合いや視聴者数の動向によって株価が左右されるというのは当然です。
サイバーエージェントによると、日本代表が勝利した11月23日のABEMAの視聴者数は1,000万を突破し、開局史上最高を記録したそうです。
今回のワールドカップはスポーツ中継でのABEMAの優位性を再認識する機会になっていると思います。
視聴画面の切り替えなどで地上波の中継と差別化に成功しており、ワールドカップ後もABEMAでのスポーツ中継の拡大が期待できそうです。
サイバーエージェントの業績等はこちらの記事で分析しています。
この記事は11月24日時点で公開されている情報を基に作成しています。
投資は慎重に自己責任でお願いします。
円高進行で下方修正はある?円安メリット企業の想定為替レートをチェック
今回は円安メリット企業の円高進行による業績の下方修正リスクがどの程度あるのかを分析します。
為替動向
ドル円は米国のインフレ加速に伴う急ピッチでの利上げで、年初から円安が進み一時は150円台で推移する場面もありました。
11月10日に発表された米国の消費者物価指数が予想を下回った事で、利上げペース鈍化が意識されドル円は急落しました。
11月21日時点では140円を挟んだ展開となっています。
当面は米国の金融政策次第の展開が続くと思いますが、来年には日本銀行の総裁人事などもあります。
日本の金融政策も変更される可能性もあることから、10月までの円安一辺倒の流れには戻りにくいのではないかと思います。
為替要因での下方修正リスクのある企業
現在の140円前後の水準は円高といえる水準では到底ありませんが、それでも一時期に比べれば10円近く円高が進んでいます。
150円近いレートで業績予想を立てている場合には円安メリットがなくなり、下方修正の要因になる可能性があります。
ほとんどの企業が円安進行を受けて、直近の決算でドル円の想定為替レートを修正しています。
主な円安メリット企業の10月以降のドル円想定為替レート | 直近決算発表日 | |
マツダ | 138円 | 11月10日 |
日産自動車 | 135円 | 11月9日 |
任天堂 | 135円 | 11月8日 |
SUBARU | 133円 | 11月2日 |
トヨタ自動車 | 135円 | 11月1日 |
ソニーグループ | 140円 | 11月1日 |
村田製作所 | 140円 | 10月31日 |
日立 | 130円 | 10月28日 |
信越化学 | 140円 | 10月27日 |
キャノン | 148円 | 10月26日 |
日本電産 | 110円 | 10月24日 |
出所:決算資料 | 11月19日時点 |
主な円安メリット企業のドル円の想定為替レートは140円程度を想定している企業が多いです。
想定為替レートを見直す機会である決算発表は、140円台後半で推移していた10月下旬から11月初旬に行われましたが、その時よりも円高水準で想定されており為替想定については保守的な企業が多いことがわかります。
ただキャノンは148円の想定をしており群を抜いて強気です。弱気のほうでは日本電産の110円が目立ちます。
キャノン以外は現在の140円前後の為替水準では、為替要因の下方修正リスクはないでしょう。むしろ為替の業績感応度が大きいトヨタ自動車などは135円想定でまだ含みがある状態です。
市場の業績予想は、会社予想とは異なり比較的頻繁に修正され、為替の変動も株価には織り込まれるため、為替要因で業績にサプライズが出ることはそんなに多くありません。
円安メリット企業の今後の焦点は、引き続き金利・為替動向に加えて、景気(数量)になります。
米国の景気はGDPNow等を見る限り22年中の景気後退はなく、あるとしても23年だと思います。そのため22年10月~12月に関しては円安メリットが相殺されるほどの数量の減少はないと予想します。
この記事は11月21日時点で公開されている情報を基に作成しています。
投資は慎重に自己責任でお願いします。