1年の下落率上位5銘柄の下がった理由を解説【プライム銘柄編】

今回は現在プライム上場の銘柄で、直近1年の下落率が高い5銘柄を解説します。

 

 

株価や指標は1月27日終値時点のデータです。

日医工 

 

下落率 90.42%

TradingView提供のチャート
株価 71円
PER(予) 0
PBR 0
配当利回り 0

 


ジェネリック医薬品の大手ですが、不適正製造などの不祥事により、業務停止処分を受けた事や、大規模な減損損失などにより、業績が急激に悪化しました。

 

債務超過に陥っており、3月から4月ごろの上場廃止が見込まれ、少数株主に対して1株36円を交付する方針です。

 

 

アイ・アールジャパンHLDGS

 

下落率 61.77%

TradingView提供のチャート

 

株価 1,854円
時価総額 331億円
PER(予) 84.4倍
PBR 5.02倍
配当利回り(予) 6.09

 

株式関連の戦略立案・実行支援などが専門のコンサルティング会社です。

 

急落の発端は元副社長がインサイダー取引に関与した疑いがある事でした。

その後、ガバナンス強化等の改善策を示していますが、11月にはその元社長が買収防衛側の顧客に背く形で、買収側に提案をしていたと報じられました。

 

現在、この件について第三者委員会を設置して調査中ですが、アイ・アールジャパンのイメージ低下につながっている事は、間違いないでしょう。

 

業績面では企業支配権争奪などを中心に、大型案件が急減したことにより、23年2Q時点で売上高前年比27.2%減、営業利益前年比72.3%減、純利益前年比71.8%と厳しい業績の落ち込みとなっています。

 

ただ通常案件は好調なことから、不祥事の調査が落ち着いたら、大型案件が戻ってくる可能性はありそうです。

 

アイ・アールジャパンは大幅減益予想を発表した後も、配当予想を変更していません。23年3月期の1株当たり利益予想は21.96円に対して、配当予想は113円となっています。

この配当予想が現在の株価の支えになっている可能性がありますが、来期も業績低迷が続く場合は、配当を維持するのは難しくなると考えられます。

 

ネットプロテクションズHLDG

 

下落率 54.11%

TradingView提供のチャート



株価 558円
PER(予) 0
PBR 2.89
配当利回り 0
時価総額 539億円

 

後払い決済の大手のネットプロテクションズは2021年の12月に上場しましたが、公募価格が高すぎたというのが、大幅下落の一因でしょう。

 

また高PERのグロース株のため、22年の米国の金利上昇の影響による、売り圧力を強く受けました。薬機法改正の影響を受けての、美容・健康カテゴリーのGMVの減少や、コンビニ収納費値上げなど、外部環境によるネガティブな影響が出ているのも大きいです。

 

業績面では売上は微増ですが、投資を優先して23年3月期は赤字転落予想となっています。

 

キャリアインデックス

 

下落率 55.29%

TradingView提供のチャート

 

株価 321円
PER(予) 10.88
PBR 1.74
配当利回り 0.78
時価総額 67億円

 

求人情報サイトと提携して求人情報を集約する転職サイトや、物件情報サイトなどを運営しています。業績はそこまで悪くないですが、PERが下がる形で株価は下落しました。23年2Qは取得した事業の赤字の影響などにより、増収減益となっています。

 

流通株式時価総額が東証プライムの上場維持基準を満たしていない事も株価の重しになっているようです。

 

2021年に株価は倍近く上がったため、基本的には上がりすぎた分の反動と評価できます。

 

ペッパーフードサービス

 

下落率 49.42%

TradingView提供のチャート

 

株価 175円
PER(予) 0
配当利回り 0
時価総額 69億円

 

22年12月期は行動制限緩和後も客の戻りが鈍く、『いきなりステーキ』の急拡大が重しとなり、継続して営業損失が続いています。

また資金繰りに懸念が生じており、財務諸表に継続企業の前提に関する注記が付されています。

資金調達として新株予約権を発行していますが、株価が下落したことによって、資金調達額は少なく株式の希薄化は大きくなっており、既存株主の嫌気売りに繋がっています。

 

総括

ネットプロテクションズとキャリアインデックスは、マクロ環境による逆風と1年前が高かったため、下落率が大きくなったと評価できます。

 

日医工とアイ・アールジャパンHLDGは不祥事が業績に影響を及ぼしての下落です。

 

ペッパーフードサービスは行動制限がなくなっても苦戦しており、かなり厳しい状況になっています。2023年は上場企業として生き残れるか勝負の1年になりそうです。

 

この記事は2023年1月28日時点で公開されている情報を基に作成しています。

投資は慎重に、自己責任でお願いします。

 

年利3.30%!楽天モバイル債は買って大丈夫?

今回は楽天証券などで1月30日から販売される、楽天グループ株式会社第22回無担保社債を解説します。

 

 

楽天グループ第22回無担保社債概要

楽天モバイル債(愛称)

利率 年3.30% (税引後 年2.629%)

期間 2年

申込単位 額面50万円単位

利払日 年2回(2月10日と8月10日 初回は23年8月10日)

債権格付 A (JCR)

 

社債の引受け

大和証券 1,000億円

SMBC日興証券 600億円

楽天証券 400億円

野村証券 400億円

三菱UFJモルガンスタンレー証券 100億円

 

この社債は愛称として【楽天モバイル債】と名付けられていますが、あくまで発行主体は楽天グループです。

期間が2年で年利3.30%の社債はかなり高利回りで一般論としては、それだけ信用リスクも高いと言えるでしょう。

 

 

格付を解説

この債券は日本格付研究所(JCR)によって、債券格付としてAを取得しています。

債券格付Aは、上から三番目で【債務履行の確実性は高い】という評価になっています。

 

楽天グループは発行体として格付も受けています。

楽天グループ発行体格付

 

格付投資情報センター(R&I)   A- 最上位から3番目

A の定義 【信用力は高く、部分的に優れた要素がある。】

マイナス符号は、下位の格に近い事を表しています。

 

S&Pグローバル・レーティング(S&P) BB 最上位から5番目

BBの定義 【債務者は短期的にはより低い格付けの債務者ほど脆弱ではないが、高い不確実性や、事業環境、金融情勢、または経済状況の悪化に対する脆弱性を有しており、状況によってはその金融債務を期日通りに履行する能力が不十分となる可能性がある。】 

 

日本格付研究所(JCR) A 最上位から3番目

 

出所:日本格付研究所「信用格付の種類と記号の定義」,格付投資情報センターHP, S&Pグローバル・レーティング「S&Pの格付け定義等」

 

格付会社各社によって楽天グループの信用リスクの見解は大きく異なり、S&Pが比較的ネガティブに評価しています。

買って大丈夫?

債権投資の基本をチェック

社債投資の一番のリスクは発行体が、債務不履行に陥る事です。

 

株式投資の場合は業績などの収益性を評価して投資判断をしますが、社債の場合は支払い能力を評価する必要があります。

つまり社債の場合は業績改善がされなくても、デフォルト等をしなければ大丈夫という事です。

 

中途売却も視野に投資するのであれば、市場金利の動向なども予想する必要がありますが、基本は満期まで保有することを前提に投資します。(償還までに本当に発行体がヤバいと思ったら損切として売却もアリ)

 

株式より安全性が高いのは確実な上、マクロの経済環境が不安定であることを考えると、株式だけではなく債権をポートフォリオに組み入れるのは、有効な分散投資です。

 

楽天グループの社債は買い?

 

結論は私は買います

発行体が楽天モバイルであれば難しいですが、楽天グループの社債としては魅力的な利回りだと考えています。

 

楽天グループの業績については、ネガティブに見ていますが、資金が枯渇して、資金調達も出来ないような状態には陥らないと考えています。

 

仮に資金が枯渇するような状態になった場合は、子会社の売却などが想定されます。

最近では楽天証券の株式19.99%をみずほ証券に800億円で売却しました。

約2割で800億円ですから、残りの全部を売却した場合、単純計算で3,200億円を調達できます。他にも銀行やカードなど魅力的な子会社が多いため、収益性を捨てれば資金調達は比較的簡単でしょう。

 

このように、いざとなれば事業を縮小する形で、現金を捻出することも考えられますので、債務不履行に陥るリスクは利回りの割には小さく、今回の社債に投資妙味は十分あると考えられます。

 

申し込む際は目論見書等を熟読の上、購入を検討されることをお勧めします。

投資は慎重に、自己責任でお願いします。

 

 

この記事は2023年1月27日時点で公開されている情報を基に作成しています。

 

注目の気象関連銘柄!ウェザーニューズの業績・株価を分析

今回は気象関連銘柄のグロース株、ウェザーニューズの株価と業績を分析します。

 

ウェザーニューズ

事業概要

ウェザーニューズは気象会社の世界最大手です。

 

気象庁との違いについて、気象庁は「天気予報=注意報・警報」であるのに対して、ウェザーニューズは「対応策情報=費用対効果」だと説明しています。

 

法人向けに気象情報などを提供するBtoBと、個人にアプリなどを通じて気象情報を提供するBtoCに大別されます。

 

開示資料を基に作成

BtoBの主力である航海気象では、航海のスケジュール・安全管理や燃料節減など、単なる気象予報ではなく、付加価値の高いサービスを提供しています。

 

個人向けのモバイル・インターネット気象は近年成長を続けており、ウェザーニューズの成長ドライバーとなっています。

ウェザーニューズの天気アプリは、基本の利用は無料ですが、30時間先までのレーダー予測などの、一部のサービスは有料会員限定となっています。

 

個人向けサービスの競合は「Yahoo!天気」や「tenki.jp」がありますが、ウェザーニューズのアプリは予報精度ナンバーワンを謳っており、近年ユーザー数が増加しています。

 

ファンダメンタルズ

業績

開示資料を基に作成

ウェザーニューズの業績は航海気象とモバイル・インターネット気象が牽引し、増収を継続しています。

 

23年5月期は、広告投資やエンジニア強化による人件費増加がありながらも、最高益更新の業績予となっています。

 

23年5月期の2Qまでは、為替の円安も業績にプラスに働いています。

3Q以降は為替が円高に振れているため、その分のサポートは剥落しますが、業績予想の前提為替レートはドル円120円のため、上振れ余地はまだあると考えられます。

 

またリオープニングによる航空気象の回復も支えとなっています。

 

バランスシート
23年5月期2Q時点
流動資産 15,878 流動負債 1,846
固定資産 3,604 固定負債 108
  (単位:百万) 純資産 17,527

 

23年5月期2Q時点の自己資本比率は89.5%となっており、ウェザーニューズの財務は非常に健全です。

 

保有資産も現金及び預金の比率が高く、投資余力や株主還元強化の余力がある状態です。

 

株価分析

TradingView提供のチャート


ウェザーニューズの株価は2020年の夏ごろから動意づき、2年かけて水準を切り上げてきました。

 

業績が堅調なこともありますが、PERが切り上がっている事を考えると、事業のポテンシャルが評価され始めた事や、ESG関連としての投資資金が集まった事が要因だと考えられます。

株価 7,090
時価総額 840億
PER(予) 32.5倍
PBR 4.48倍
配当利回り(予) 1.41%
23年1月25日終値時点  

 

上場している類似企業がなく、PERを比較することが出来ないため、評価が難しいですが、気象会社は参入障壁も高く、経営も優良なため、高PERが許容されているのではないでしょうか。

 

株主還元

ウェザーニューズは「高貢献、高収益、高分配」掲げており、配当性向は50%を目安に設定されています。

ただ株価のPERが高くなっているため、配当利回りは1.4%となっています。

利益水準や内部留保を考えると、増配などの株主還元強化の可能性は高いと考えられます。

 

株主優待も設定されており、5月末と11月末の株主にウェザーニューズアプリの有料サービス無料利用権を提供しています。

 

主なアップサイドとリスク

アップサイド

  • 為替の円安進行
  • 株主還元強化
  • 株式分割
  • 新規事業の気候テック事業の利益貢献顕在化
  • 既存事業の成長

ウェザーニューズの新規事業の気候テック事業は、気候変動リスク分析など、市場のテーマに沿っており注目されています。

 

ただ、どこまで業績に貢献できるか未知数のため、業績貢献が顕在化した場合、株価にプラスに働くと考えられます。

 

リスク

  • 為替の円高進行
  • 成長鈍化
  • 景気後退

この記事は2023年1月25日時点で公開されている情報を基に作成しています。

投資は慎重に、自己責任でお願いします。

 

注目の銀行株 個別銘柄のパフォーマンスを比較・分析!

今回は市場の注目を集めている銀行株のパフォーマンスを比較・分析します。

 

 

銀行株の株価

TradingView提供のチャート 銀行株ETFの株価


12月の金融政策決定会合で金融政策を修正し、10年金利の許容変動幅を上下0,25%程度から上下0.5%程度に拡大することを決めました。

このは修正はサプライズだったため、銀行株は大きく上昇しました。

 

1月の日銀政策決定会合では、金融政策の現状維持が決まり株価は利益確定に押される形となりました。

ただ近い内に金融緩和の縮小、金融正常化が進むというシナリオが変わったわけではなく期待できるセクターになっています。

 

12月の政策修正による、銀行業績に与える影響についてはこちらの記事がおすすめです。

 

20daiinvestor.com

 

個別銘柄のパフォーマンス比較

2022年12月からの株価を比較

TradingView提供のチャート(1月19日終値時点の株価)

22年12月以降の株価のパフォーマンスは、銀行業株価指数で約14%株価上昇しています。

銀行業株価指数のパフォーマンスを上回っている主な銘柄は、三菱UFJフィナンシャルGコンコルディア・フィナンシャルみずほフィナンシャルG三井住友フィナンシャルGなど、メガバンクは概ね東証銀行業株価指数を上回るパフォーマンスとなっています。

一方、東証銀行業株価指数を下回っているのは、地銀の一角やゆうちょ銀行があります。

バリエーション比較

 

1年の株価騰落率
  株価 (予)配当利回り 1年株価騰落率 6カ月株価騰落率
富山第一銀行 619 2.61 108.42% 41.97%
りそなホールディングス 709.4 3.01 46.63% 38.85%
ふくおかフィナンシャルG 2989 3.51 40.39% 28.61%
三菱UFJフィナンシャルG 937.6 3.46 37.02% 28.90%
千葉銀行 965 2.69 36.88% 32.55%
西日本フィナンシャルHD 1049 4.29 36.23% 40.24%
南都銀行 2602 4.34 35.95% 28.80%
群馬銀行 492 3.66 34.06% 31.55%
滋賀銀行 2773 2.88 31.67% 3.24%
三井住友フィナンシャルG 5467 4.25 31.48% 32.69%
山梨中央銀行 1157 3.46 28.27% 2.75%
みずほフィナンシャル 1987 4.31 26.92% 25.76%
四国銀行 979 3.58 25.67% 14.91%
コンコルディア・フィナンシャル 568 3.35 24.84% 27.64%
武蔵野銀行 2180 4.13 21.79% 21.72%
三井住友トラストHD 4691 4.33 15.97% 10.01%
京都銀行 5950 2.02 14.64% 6.25%
東和銀行 594 4.21 12.08% 13.36%
SBI新生銀行 2310 未定 11.81% 14.87%
岩手銀行 2048 4.39 8.88% 3.49%
秋田銀行 1788 3.91 8.63% 4.75%
九州フィナンシャルG 461 2.6 6.96% 19.74%
ゆうちょ銀行 1129 4.42 2.82% 4.54%
あおぞら銀行 2638 5.84 2.53% -3.51%
阿波銀行 2097 2.15 -3.14% 3.30%
ひろぎんHLDGS 651 4.15 -5.79% 5.17%
島根銀行 487 2.05 -12.57% 0.41%
スルガ銀行 414 1.45 -13.39% 10.99%

 

1年で一番上昇した株は、著名投資家の井村俊哉氏が買っていた事が伝わった、富山第一銀行です。

全体的には好調な銘柄が多いですが、阿波銀行や島根銀行など、1年前の株価より低い株価で取引されている銘柄もあります。

また、時価総額が大きい銘柄の中ではゆうちょ銀行が目立ってパフォーマンスが悪くなっています。

 

配当利回り(予)比較
  株価 (予)配当利回り
あおぞら銀行 2638 5.84
ゆうちょ銀行 1129 4.42
岩手銀行 2048 4.39
南都銀行 2602 4.34
三井住友トラストHD 4691 4.33
みずほフィナンシャル 1987 4.31
西日本フィナンシャルHD 1049 4.29
三井住友フィナンシャルG 5467 4.25
東和銀行 594 4.21
ひろぎんHLDGS 651 4.15
武蔵野銀行 2180 4.13
秋田銀行 1788 3.91
群馬銀行 492 3.66
四国銀行 979 3.58
ふくおかフィナンシャルG 2989 3.51
三菱UFJフィナンシャルG 937.6 3.46
山梨中央銀行 1157 3.46
コンコルディア・フィナンシャル 568 3.35
りそなホールディングス 709.4 3.01
滋賀銀行 2773 2.88
千葉銀行 965 2.69
富山第一銀行 619 2.61
九州フィナンシャルG 461 2.6
阿波銀行 2097 2.15
島根銀行 487 2.05
京都銀行 5950 2.02
スルガ銀行 414 1.45

 

株価の上昇に伴い予想配当利回りが、以前より低くなっている銘柄も多いです。

ただ業績見通しが良ければ、来期の増配も期待できる銘柄も多いでしょう。

 

PBR比較
  株価 (予)配当利回り PBR
山梨中央銀行 1157 3.46 0.19
岩手銀行 2048 4.39 0.19
東和銀行 594 4.21 0.21
秋田銀行 1788 3.91 0.21
四国銀行 979 3.58 0.28
武蔵野銀行 2180 4.13 0.29
スルガ銀行 414 1.45 0.29
西日本フィナンシャルHD 1049 4.29 0.3
九州フィナンシャルG 461 2.6 0.3
滋賀銀行 2773 2.88 0.31
阿波銀行 2097 2.15 0.31
南都銀行 2602 4.34 0.31
富山第一銀行 619 2.61 0.34
群馬銀行 492 3.66 0.4
島根銀行 487 2.05 0.4
ひろぎんHLDGS 651 4.15 0.43
ゆうちょ銀行 1129 4.42 0.44
京都銀行 5950 2.02 0.44
SBI新生銀行 2310 未定 0.49
みずほフィナンシャル 1987 4.31 0.56
三井住友フィナンシャルG 5467 4.25 0.59
コンコルディア・フィナンシャル 568 3.35 0.59
三井住友トラストHD 4691 4.33 0.62
ふくおかフィナンシャルG 2989 3.51 0.64
千葉銀行 965 2.69 0.67
三菱UFJフィナンシャルG 937.6 3.46% 0.68
りそなホールディングス 709.4 3.01 0.69
あおぞら銀行 2638 5.84 0.69

 

PBRの低い順に並べると、収益力に懸念のある地銀が、PBRも低く抑えられています。

一方でメガバンクは株価上昇によりPBRも切り上がってきています。

 

地銀などには出遅れている銘柄も多数あるため、中にはこれから狙える銘柄もあると考えられます。

 

この記事は2023年1月20日時点で公開されている情報を基に作成しています。

投資は慎重に、自己責任でお願いします。

 

円高メリット注目株 ベガコーポレーションを分析

今回はグロース市場に上場している小型株、ベガコーポレーションを分析します。

 

 

事業概要

家具などを取り扱うECの【LOWYA】の運営をしています。

 

【LOWYA】で扱う商品は自社企画の商品が多いですが、他社製品の取り扱い強化による商品数と品目数の拡大を進め、旗艦店のプラットフォーム化を中期事業方針として掲げています。

 

楽天など他社プラットフォームにも出店しており、旗艦店の売上比率は近年は50%程度で推移しています。

 

現在のところ業績貢献は小さいですが、越境ECのDOKODEMOも展開しています。

DOKODEMO事業のビジネスモデルは流通総額から一定の料率で手数料を取る、プラットフォームビジネスです。

 

直近決算の23年3月期2Qの流通総額は前期比161.2%と高い成長性を示しています。

ただDOKODEMO事業はまだ恒常的に利益が出る事業ではないため、これからも流通総額の成長を続けられるかが注目です。

 

ファンダメンタル

業績

開示資料を基に作成 今期予想はレンジの下限

ベガコーポレーションの売上は20年3月期まで安定的に成長を続けていましたが、コロナによる影響が強かった21年3月期は、跳ね上がる形で売上が増加しました。

 

22年3月期はコロナ影響が減衰したことにより減収となりましたが、20年3月期を上回る水準で推移しています。

 

営業利益は為替や商品市況などの影響を受けるため、ボラティリティが高くなっています。

19年3月期は主に配送コストの上昇により、赤字転落となりました。

 

そして23年3月期は為替の急激な円安進行などの影響を受けています。

2Qまでの実績では、原価上昇の影響を受けながらも販管費の削減などのコストコントロールにより、黒字を保っています。

 

バランスシート
流動資産 6,363 流動負債 2,171
固定資産 1,194 固定負債 39
23年3月2Q時点 (単位:百万) 純資産 5,348

 

流動資産の内20億円は現金で財務も比較的強固です。

 

株主還元

特需により業績が好調だった21年3月期から配当を開始しており、DOE2%を目安として継続的な配当を目指すとしています。

参考:DOE=株主資本配当率 

 

1月20日時点の株価では配当利回りは1.97%となっています。

今のところ毎期10円の配当を実施しています。

 

株主優待も実施しており、3月期末の株主を対象としてLOWYA旗艦店20%割引クーポンか1,000円分の寄付の優待内容を選択できるようになっています。

 

株価

株価指標

TradingView提供のチャート(1月20日終値時点の株価)

ベガコーポレーションの現在の株価は上場来安値付近で推移しています。

業績のボラティリティが大きいため株価もボラティリティが大きくなっており、2020年には一時4000円を超えるような場面もありましたが、現在はその10分の1程度の株価で取引されています。

 

PER(予)   295.7倍(予想のレンジ下限の場合)

PBR(実)   1.0倍

時価総額 約54億円

 

株価を分析 割安感ある水準か?

 

現在の株価水準と利益水準は20年3月期の業績低迷時と同じ水準です。

当時と違う点で株価にマイナスに働く要因は、金利上昇によるPERの切り下がりと、為替な事業環境の不透明さがあります。

 

一方でプラスの点は旗艦店の会員数の増加などベースの部分の成長と、21年度と22年度の好調な業績により、純資産が積み上がっている点、売上が高水準を維持している点です。

 

金利環境に関しては、日本銀行の金融政策に不透明感はありますが、日本が利上げした場合、為替は円高に働くため、業績にはプラスになります。

 

売上は特需が減衰した後も、高水準を維持しているため、為替などの外部環境も落ち着き、販管費の削減などが継続される場合、利益の反発も一定程度大きいと考えられます。

 

現在の株価水準はPBR1倍水準ですから、以前よりも割安感があります。

仮に業績改善に時間がかかるとしても、配当方針がDOE2%というのが株価の下支えとなるでしょう。

 

DOKODEMO事業の利益貢献の期待や、旗艦店のプラットフォーム化への期待など、中長期的な期待もあるため、ウォッチリスト入れときたい注目銘柄だと思います。

 

この記事は2023年1月20日時点で公開されている情報を基に作成しています。

投資は慎重に、自己責任でお願いします。

株主優待導入の小型株 ALINK インターネットは買い?業績・株価を徹底分析

1月16日に決算を発表し、株主優待の導入を決めた時価総額約20億の超小型株・ALINKインターネットを分析します。

 

 

ALINKインターネット

事業概要

 

日本気象協会と気象情報サイトのtenki.jpを共同運営しており、収益を日本気象協会が50.5%.ALINKインターネットが49.5%の割合でシェアしています。

 

tenki.jpの主な収益は運用型広告による収入となっており、広告市況の影響を受けるビジネスモデルとなっています。

ALINKインターネットはサイト・アプリの設計や広告最適化などを担当しています。

 

主な競合となる天気サイト・アプリはウェザーニュースやYahoo天気などがあります。

台風や悪天候の際に利用者数が増えることから、7月から9月にPVが増える傾向があります。

 

有価証券報告書を基に作成

PV数は天候に左右されますが、天候要因を除いても近年は、高水準で推移しています。

 

ファンダメンタルズ

 

損益

開示資料を基に作成

 

ALINKインターネットの業績は上場後の最初の期末決算の20年2月期をピークにして、営業利益は2億円程度で推移しています。

 

売上高の減少は広告単価の低迷が主な要因です。

売上高利益率の低下は人件費増などのコスト増などが主な要因です。

 

特に23年2月期は新規事業開発に関連して、開発費と人件費が大幅に増加して、大幅な利益率低下につながっています。

 

バランスシート

 

流動資産 1,710 流動負債 63
固定資産 167 固定負債 57
  (単位:百万) 純資産 1,807

 

ALINKインターネットは現在のところ無借金経営をしています。

22年3Q  時点の現金及び預金は約15億円で有利子負債は0です。

 

自己資本比率は96.3%となっており、強固すぎる自己資本がROE低下の原因になっています。

 

株価分析

株価

 

TradingView提供のチャート

ALINKインターネットの株価は2019年末に上場後、公募価格を上回る株価で推移していましたが、現在は業績低迷を反映して公募価格よりも低い株価水準で推移しています。

 

1月18日時点の予想PERは約17倍でPBRは約1.1倍となっており、グロース市場に上場していますが、バリュー株の株価評価を受けています。

 

時価総額は約21億でネットキャッシュ約15億保有している訳ですから、EV(企業価値)は約6億円となっており、事業価値として、市場でほとんど評価されていない事がわかります。

参考:ネット有利子負債 -15億+ 株式時価総額21億=企業価値6億

 

その低評価の一つの要因は株主還元策が足りない事でしょう。

3Qに初めて株主還元策として株主優待の実施を発表していますが、配当は無配予想となっています。

利益が変わらずで純資産が増えていくと、ROEも低くなるため純資産を減らすという観点からも、配当は現実的な選択肢でしょう。

 

ただ会社の説明によると豊富な現金は成長投資に必要として、M&Aの資金などを想定しているようです。

 

株主優待概要

 

2月末日の株主名簿に記載の100株以上保有の株主にオリジナルQUOカード(1000円分)を贈呈。

2023年2月末日分から開始。

 

 

株価は今後どうなる?

 

来期もコストは23年2月期と同程度か増加すると考えられるため、tenki.jp事業の本格的な業績の改善トレンドは考えにくいでしょう。

売上面はPVは堅調ですが、広告市況の改善が見込めるマクロ環境ではありません。

 

現状のファンダメンタルズでは、上がる理由を見出すのは難しいですが、豊富な現預金を考えると底堅い展開になる可能性もあります。

ただ、時価総額が小さく出来高も少ないため、需給で値が大きく動き出す事があるので注意が必要です。

 

主なアップサイドとリスク

現預金があるという事は配当など株主還元の強化の選択肢が多いため、株主還元方針が変更された場合、株価にプラスになります。

 

また良い条件でM&Aの進捗があれば、成長期待を集める形でのバリエーションの切り上がりにも期待できます。

 

主なアップサイドシナリオ

  • 配当など株主還元強化
  • 好条件でのM&A
  • 広告市況改善
  • 天候要因

 

主なリスクシナリオ

  • 悪条件のM&A
  • 広告市況悪化
  • 天候が安定
  • 日本気象協会との契約に変更

 


この記事は2023年1月18日時点で公開されている情報を基に作成しています。

投資は慎重に、自己責任でお願いします。

 

 

 

乃木坂46合同会社の株主は誰?関連する株式銘柄を紹介

今回は乃木坂46に関連する上場会社を解説します。

 

乃木坂46合同会社の株主

乃木坂46を運営・マネジメントしている会社は乃木坂46合同会社です。

乃木坂46合同会社の株主・資本構成は以下のようになっています。

 

ノースリバー側の資本構成はKeyHolderの株主通信を基に作成しています。

ソニー側の資本構成については情報が定かなソースはありませんでしたが、半分はソニーが持っていると考えられます。

 

KeyHolder

KeyHolderは東証スタンダードに上場している企業です。

乃木坂46合同会社の所有権を間接的に約5割所有していますが、会計上は持分法適用会社となっています。

秋元康氏と関係が深くは特別顧問を務めている上、22年6月末時点で第2位株主に位置しています。

 

 

乃木坂46合同会社のKeyHolderへの業績影響はかなり大きくなっています。

22年の1Q~3Qの営業利益約19億円の内、約11億円が乃木坂46合同会社の利益が主の、持分法による投資利益となっています。

 

つまり乃木坂46合同会社の業績がKeyHolderの株価を大きく左右するという事です。

 

 

過去の乃木坂46合同会社の業績や他の事業を含めたKeyHolderの分析はこちらの記事でしています。

20daiinvestor.com

 

株価

TradingView提供のチャート

足元の株価は金利引き上げなど厳しいマクロ環境により、株価は軟調に推移しています。

 

四季報は22年に収益貢献が大きかった、乃木坂46の日産スタジアムでの公演などの分がなくなり、23年度は減益になることを予想しています。

それも株価の軟調に繋がっていると考えられます。

 

証券会社のアナリストもカバーしていない銘柄のため、23年度の業績を予想する材料は少ないです。

 

ただ減益幅が四季報より小幅な場合、ポジティブサプライズになる可能性もあります。

PBR1倍を割れている現在の株価水準では、投資妙味はあるのではないでしょうか。

 

ソニーグループ

 

ソニーグループは、時価総額が10兆円を超えるグローバル企業ですから、乃木坂46合同会社の利益貢献はかなり限定的で、株価に影響することもほぼないと考えられます。

 

ただCD生産・販売やライセンス管理など乃木坂46関連のビジネスを含めると、日本の音楽事業の中では、乃木坂46は利益貢献が大きいと考えられ、重要視しているコンテンツである事は間違いないです。

 

世界最大級のテックイベントのCES2023でも流された、ブランドコンセプト動画にも乃木坂46のMVが、少しですが登場しています。

 

www.youtube.com

 

株価

22年は軟調でしたが23年は比較的堅調に推移しています。

これは1月5日に行われたCES2023でのプレスカンファレンスの内容が投資家に好評だったことが影響していると思われます。

 

20daiinvestor.com

 

TradingView提供のチャート

 

乃木坂46関連のビジネスを展開

BEENOS

傘下のモノセンスという会社が乃木坂46オフィシャルウェブショップを運営しています。

ただ主力事業は越境ECとなっており、利益貢献は限定的です。

 

TradingView提供のチャート



足元では投資先企業の株価下落や、円高による越境ECなどの悪影響懸念により、株価は下落しています。

 

gumi

乃木坂46のゲームアプリ「乃木坂的フラクタル」を開発・運用しています。

「乃木坂的フラクタル」の細かい業績貢献は不明ですが、gumiが運営しているゲーム中では人気タイトルの一つと考えられます。

 

TradingView提供のチャート

22年9月には、gumiが出資しているオーバースが準備する、アイドルグループ創造プロジェクトに秋元康氏が就任することが発表されました。

その期待から株価は一旦上昇しましたが、内容について情報が少なく、投資家として期待を持てる内容なのか現時点で、評価することは難しいでしょう。

 

IMAGICA GROUP

映像制作、企画、放送、機器開発・販売などの事業を展開しており、傘下のP.I.C.Sが乃木坂46の多数の楽曲MVを制作しています。

 

P.I.C.Sなど映像制作は、独自IPのアニメや動画配信事業者向けのコンテンツ制作など、将来性のある事業がポートフォリオに組み入れられています。

TradingView提供のチャート

 

足元では円高の悪影響懸念や金利引き上げ懸念などにより、株価は軟調に推移しています。1月17日時点の株価はPER約13倍でPBRは1倍割れと割安感のある水準です。