1年の下落率上位5銘柄の下がった理由を解説【プライム銘柄編】

今回は現在プライム上場の銘柄で、直近1年の下落率が高い5銘柄を解説します。

 

 

株価や指標は1月27日終値時点のデータです。

日医工 

 

下落率 90.42%

TradingView提供のチャート
株価 71円
PER(予) 0
PBR 0
配当利回り 0

 


ジェネリック医薬品の大手ですが、不適正製造などの不祥事により、業務停止処分を受けた事や、大規模な減損損失などにより、業績が急激に悪化しました。

 

債務超過に陥っており、3月から4月ごろの上場廃止が見込まれ、少数株主に対して1株36円を交付する方針です。

 

 

アイ・アールジャパンHLDGS

 

下落率 61.77%

TradingView提供のチャート

 

株価 1,854円
時価総額 331億円
PER(予) 84.4倍
PBR 5.02倍
配当利回り(予) 6.09

 

株式関連の戦略立案・実行支援などが専門のコンサルティング会社です。

 

急落の発端は元副社長がインサイダー取引に関与した疑いがある事でした。

その後、ガバナンス強化等の改善策を示していますが、11月にはその元社長が買収防衛側の顧客に背く形で、買収側に提案をしていたと報じられました。

 

現在、この件について第三者委員会を設置して調査中ですが、アイ・アールジャパンのイメージ低下につながっている事は、間違いないでしょう。

 

業績面では企業支配権争奪などを中心に、大型案件が急減したことにより、23年2Q時点で売上高前年比27.2%減、営業利益前年比72.3%減、純利益前年比71.8%と厳しい業績の落ち込みとなっています。

 

ただ通常案件は好調なことから、不祥事の調査が落ち着いたら、大型案件が戻ってくる可能性はありそうです。

 

アイ・アールジャパンは大幅減益予想を発表した後も、配当予想を変更していません。23年3月期の1株当たり利益予想は21.96円に対して、配当予想は113円となっています。

この配当予想が現在の株価の支えになっている可能性がありますが、来期も業績低迷が続く場合は、配当を維持するのは難しくなると考えられます。

 

ネットプロテクションズHLDG

 

下落率 54.11%

TradingView提供のチャート



株価 558円
PER(予) 0
PBR 2.89
配当利回り 0
時価総額 539億円

 

後払い決済の大手のネットプロテクションズは2021年の12月に上場しましたが、公募価格が高すぎたというのが、大幅下落の一因でしょう。

 

また高PERのグロース株のため、22年の米国の金利上昇の影響による、売り圧力を強く受けました。薬機法改正の影響を受けての、美容・健康カテゴリーのGMVの減少や、コンビニ収納費値上げなど、外部環境によるネガティブな影響が出ているのも大きいです。

 

業績面では売上は微増ですが、投資を優先して23年3月期は赤字転落予想となっています。

 

キャリアインデックス

 

下落率 55.29%

TradingView提供のチャート

 

株価 321円
PER(予) 10.88
PBR 1.74
配当利回り 0.78
時価総額 67億円

 

求人情報サイトと提携して求人情報を集約する転職サイトや、物件情報サイトなどを運営しています。業績はそこまで悪くないですが、PERが下がる形で株価は下落しました。23年2Qは取得した事業の赤字の影響などにより、増収減益となっています。

 

流通株式時価総額が東証プライムの上場維持基準を満たしていない事も株価の重しになっているようです。

 

2021年に株価は倍近く上がったため、基本的には上がりすぎた分の反動と評価できます。

 

ペッパーフードサービス

 

下落率 49.42%

TradingView提供のチャート

 

株価 175円
PER(予) 0
配当利回り 0
時価総額 69億円

 

22年12月期は行動制限緩和後も客の戻りが鈍く、『いきなりステーキ』の急拡大が重しとなり、継続して営業損失が続いています。

また資金繰りに懸念が生じており、財務諸表に継続企業の前提に関する注記が付されています。

資金調達として新株予約権を発行していますが、株価が下落したことによって、資金調達額は少なく株式の希薄化は大きくなっており、既存株主の嫌気売りに繋がっています。

 

総括

ネットプロテクションズとキャリアインデックスは、マクロ環境による逆風と1年前が高かったため、下落率が大きくなったと評価できます。

 

日医工とアイ・アールジャパンHLDGは不祥事が業績に影響を及ぼしての下落です。

 

ペッパーフードサービスは行動制限がなくなっても苦戦しており、かなり厳しい状況になっています。2023年は上場企業として生き残れるか勝負の1年になりそうです。

 

この記事は2023年1月28日時点で公開されている情報を基に作成しています。

投資は慎重に、自己責任でお願いします。