株主優待導入の小型株 ALINK インターネットは買い?業績・株価を徹底分析

1月16日に決算を発表し、株主優待の導入を決めた時価総額約20億の超小型株・ALINKインターネットを分析します。

 

 

ALINKインターネット

事業概要

 

日本気象協会と気象情報サイトのtenki.jpを共同運営しており、収益を日本気象協会が50.5%.ALINKインターネットが49.5%の割合でシェアしています。

 

tenki.jpの主な収益は運用型広告による収入となっており、広告市況の影響を受けるビジネスモデルとなっています。

ALINKインターネットはサイト・アプリの設計や広告最適化などを担当しています。

 

主な競合となる天気サイト・アプリはウェザーニュースやYahoo天気などがあります。

台風や悪天候の際に利用者数が増えることから、7月から9月にPVが増える傾向があります。

 

有価証券報告書を基に作成

PV数は天候に左右されますが、天候要因を除いても近年は、高水準で推移しています。

 

ファンダメンタルズ

 

損益

開示資料を基に作成

 

ALINKインターネットの業績は上場後の最初の期末決算の20年2月期をピークにして、営業利益は2億円程度で推移しています。

 

売上高の減少は広告単価の低迷が主な要因です。

売上高利益率の低下は人件費増などのコスト増などが主な要因です。

 

特に23年2月期は新規事業開発に関連して、開発費と人件費が大幅に増加して、大幅な利益率低下につながっています。

 

バランスシート

 

流動資産 1,710 流動負債 63
固定資産 167 固定負債 57
  (単位:百万) 純資産 1,807

 

ALINKインターネットは現在のところ無借金経営をしています。

22年3Q  時点の現金及び預金は約15億円で有利子負債は0です。

 

自己資本比率は96.3%となっており、強固すぎる自己資本がROE低下の原因になっています。

 

株価分析

株価

 

TradingView提供のチャート

ALINKインターネットの株価は2019年末に上場後、公募価格を上回る株価で推移していましたが、現在は業績低迷を反映して公募価格よりも低い株価水準で推移しています。

 

1月18日時点の予想PERは約17倍でPBRは約1.1倍となっており、グロース市場に上場していますが、バリュー株の株価評価を受けています。

 

時価総額は約21億でネットキャッシュ約15億保有している訳ですから、EV(企業価値)は約6億円となっており、事業価値として、市場でほとんど評価されていない事がわかります。

参考:ネット有利子負債 -15億+ 株式時価総額21億=企業価値6億

 

その低評価の一つの要因は株主還元策が足りない事でしょう。

3Qに初めて株主還元策として株主優待の実施を発表していますが、配当は無配予想となっています。

利益が変わらずで純資産が増えていくと、ROEも低くなるため純資産を減らすという観点からも、配当は現実的な選択肢でしょう。

 

ただ会社の説明によると豊富な現金は成長投資に必要として、M&Aの資金などを想定しているようです。

 

株主優待概要

 

2月末日の株主名簿に記載の100株以上保有の株主にオリジナルQUOカード(1000円分)を贈呈。

2023年2月末日分から開始。

 

 

株価は今後どうなる?

 

来期もコストは23年2月期と同程度か増加すると考えられるため、tenki.jp事業の本格的な業績の改善トレンドは考えにくいでしょう。

売上面はPVは堅調ですが、広告市況の改善が見込めるマクロ環境ではありません。

 

現状のファンダメンタルズでは、上がる理由を見出すのは難しいですが、豊富な現預金を考えると底堅い展開になる可能性もあります。

ただ、時価総額が小さく出来高も少ないため、需給で値が大きく動き出す事があるので注意が必要です。

 

主なアップサイドとリスク

現預金があるという事は配当など株主還元の強化の選択肢が多いため、株主還元方針が変更された場合、株価にプラスになります。

 

また良い条件でM&Aの進捗があれば、成長期待を集める形でのバリエーションの切り上がりにも期待できます。

 

主なアップサイドシナリオ

  • 配当など株主還元強化
  • 好条件でのM&A
  • 広告市況改善
  • 天候要因

 

主なリスクシナリオ

  • 悪条件のM&A
  • 広告市況悪化
  • 天候が安定
  • 日本気象協会との契約に変更

 


この記事は2023年1月18日時点で公開されている情報を基に作成しています。

投資は慎重に、自己責任でお願いします。